たまにご相談をお受けします。

「火葬をしようか自宅で土葬にしようか、悩んでいる」

<大切な家族であるペットちゃんの死>については生前は縁起が悪くて亡くなった後のことは口にするのも考えるのもはばかられるというお気持ちお察しいたします。

実際にペットちゃんが亡くなってから慌ててペット霊園をさがしたという方が多いようです。でも現実は人間の時同様に<深い悲しみのさなかにさあどうするか考えなくてはいけない>状況なのではと思います。

「とても決められない」という方ももちろんいらっしゃいますが、人間同様に亡くなってしまった肉体は朽ち果てます。
そのまま、このままの状態で今まで通りそばに置いておきたい気持ちは私も何度も経験しているのでよくわかります。でも愛しい子も時間が経てばにおいもしてくるし、口元や陰部から体液も漏れ出てきます。そうなるともっとかわいそうです。見送ってあげないといけないんだとどうにもできない現実に苦しくなります。

私自身は火葬でも土葬でもご家族が納得のいく方法であればよいと思っています。(この場合の土葬は火葬をしていないお体をそのまま埋葬する方法のことです)ただ、火葬と土葬には確かに大きく違うことがあると思います。そのことをよく知っていただいた上で選択をしていただければ後悔がないのではと思っています。

まず土葬のメリットについて。自宅敷地がある方は敷地内の適切な場所に穴を深く掘ってお体を埋葬されるかと思います。大好きなお家やお庭に埋葬してあげることが一番喜ぶだろうと、そしてご家族としても一番近い場所に埋葬することで安心できるのではないかと思います。墓石はなくてもお花などを供えてあげれば十分気持ちのこもった葬儀であると思います。念仏よりもあなたの言葉や涙が一番の供養になることでしょう。自宅であれば埋葬する日時も自由だし家族の都合もつきやすいでしょう。ご家族揃ってお別れができます。お気に入りの場所に埋葬すればそこを眺めるたびに思い出すことができます。

ただ土葬にもデメリットはあります。まず、敷地がないと土葬しにくい点です。他には野生動物が荒らす可能性があるということです。イノシシや野犬などは地域によるかと思いますが、カラスは神出鬼没です。火葬をしていないので、人間では感じなくてもにおいがしているとは思います。想像もしたくないことがあるかもしれません。しっかり対処しておく必要がありそうです。また代々、自分のペットはこの場所に埋葬しているという風に決まっているご家族はいいでしょうが、心の整理もつかない悲しみの中でやっと掘って埋葬したものの後になって「ここじゃなかった」と掘り返して場所を移したという話も聞きます。そして、埋葬して10年も経つと「どこだったかはっきりわからなくなった」というのはよく聞きます。

火葬のメリットについて。まず自分たちと同じようにしてあげたいと火葬を選ばれるかたも多いです。また賃貸にお住まいだったりしていつか引っ越す可能性のある方もいざという時に運ぶことができる骨壺におさめることを望まれます。高温で火葬をすることによってにおいがしたりカビがはえたり痛むことがなくなります。(私は25年前に火葬した子をいまだに手元に持っていますが骨壺の中はなんら変わりません)小さくなった我が子をあなたが望むまでいつまでもそばに置いておくことができます。最近は火葬後にお庭に埋葬する方も多いです。火葬することによって一番の悩みである<どう供養をしていくか>ということをゆっくりと心が落ち着いてから考えることもできます。土葬すると突然姿かたちがない状態になって「まだどこかにいるような気がする」ということもあるようですが、火葬をしてお骨を拾うことによって家族として最後にできることをつらいながらも涙を流しながらもすることこそがペットロスになりにくいという話もあります。お骨になった我が子を見ることはつらいですがひとつひとつお骨を拾っていくうちに「本当に天国に行ったんだと心の整理がほんの少しつきました」というご家族は多いです。

火葬のデメリットはなにより先に述べたつらさです。火葬をするということはペットちゃんのお体に火をともすことです。そのことに耐えられない方も多くいらっしゃいます。見ることも音を聞くこともできない、とスタッフに預けて「自分がいなくなってからにしてくれ」という方ももちろんいらっしゃいます。亡くなったことだけでも十分つらいのです。それに時と場合によってはご家族揃って見送ることができない方もいらっしゃいます。霊園の予約状況によっては希望通りの日時に火葬できないこともあるかもしれません。お仕事や学校で時間が限られている場合は苦慮されることでしょう。

どういうことを望まれるのか、何をしてあげたいのか、ご供養についてどのようなお考えなのかなどは様々です。

どうすればいいか、残念ながら答えはありません。

上記の文が少しでも役に立てばと思います。